「リヴァイの髪型にしてよ」「美容師は魔法使いじゃないんだよ」

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突然ですが皆さんは、「美容師」にどこまで求めていますか?

イメージ通りにカットしてくれる」や「なりたい人に近づけて欲しい」人によって求めるものはさまざまでしょう。

髪の長さが足りないけど「リヴァイになりたい」ってひとがいました。
ぼくがまだサロン勤めで髪を切っていたときの話。

当時勤めていたサロンは高級サロンって呼ばれていて30代〜50代の客層でいつもにぎわっていた。

なりたい理想を叶えてくれるのが美容師」みなさんそんな夢のような気持ちで来店してくださります。ありがたい。

スタイリスト1年目の夏、僕はそんな夢をぶち壊した。

前髪の短いリヴァイ兵長に憧れた40代

いやぁイッチくん、今日もよろしく!
イッチ
こちらこそ!よろしくおねがいします。

 

彼は仲の良いお客さん。大学で化学教授をやってる40代後半の先生だ。秋からオランダで仕事をすることになったので最後のメンテナンスで髪をやりにきました。

 

「リヴァイ兵長っぽくしてくれるかな?」

 

 

彼からのオーダーはリヴァイ兵長の髪型でした。センター分けで人類最強の兵士。

そしてみんなのヒーローで、憧れの存在でもあるリヴァイ兵長。

 

このスタイルは当時オーダーしてくださるお客さんが多かった気がします。

アニメ好きのお客さんが多い僕の十八番オーダーのひとつにもなっていた。

 

だが、残念なことに彼の髪は薄くて短い。前髪にいたっては眉毛よりはるかに上だ。さらにくせ毛…。さぁてどうするか?

イッチ
おぉ〜かっこいいですねぇリヴァイ兵長!
ただ、髪の長さがちょっと短いのでもう少し伸ばしてからにしましょう!
今の長さだとこんな感じはいかがでしょう?

 

共感しつつも論点をすり替えた。我ながら見事な切り返しだ。

 

いやだ!いますぐにやって欲しい。髪型っていうかリヴァイになりたい!
オランダでモテたいんだよね!

 

 

はい?

雰囲気!?

 

イッチ
モテたいんですよね!確かにリヴァイはカッコイイです。けれどもこの雰囲気にするとなると、前髪とか長さがぜんぜん足りないんですよ。もう少し我慢して伸ばしましょう。
…。いやだ!今これにするの。
前髪はこれに近い雰囲気でリヴァイにしてくれよ!

 

これとは…?!リヴァイに近い感じ?

ま、まさか、かみを増やせとでもいっているのか?!?!

そんなことが果たしてできるのだろうか?

いや、削ることはできても増やすことはまず出来ない…。

 

イッチ
このスタイルは前髪が特徴のある感じなんでちょっと難しいですよ!

 

…。じゃあ前髪以外をリヴァイに近づけてみようよ!!
よろしくイッチ!

ま、前髪以外だと?
リヴァイの特徴は前髪じゃないのか?

この人は顔でも変えろとおっしゃってるのか?
…ふむ。困った。

けれども彼の意志は揺るがないしこれがラストカットってのもあって切ることに。

そして僕が持っている全てのスキルと小さな左脳をふりしぼってリヴァイを創りあげることに成功しました。

美容師は魔法使いではない…。ただの人ってことだ

あの時に戻れるなら僕は断固としてリヴァイのヘアスタイルにはしなかった。

それは彼が求めているものは髪型ではなかったから。リヴァイみたいになって女性にモテることが理想だったからだ。

 

ただもう遅い..。彼はオランダへ旅立ってしまいました。お金が貯まったらオランダに行ってもう一度彼に会いに行くことにします。

そこで一緒に酒を飲みながら彼に訪ねたい。

 

ところで、オランダではモテましたか?

 

どう?かっこいい?

 

 

 

 

 

イッチ
えぇ最高にクールです。

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